前回の最後では、
個人の小さい飲食店でも、
ブランドをつくることができるのか?
という疑問で終わっていました。
それと、
「ブランド、ブランドって言うけど、
結局は儲かるかどうかじゃないの!」
あるオーナーからこんなご意見をいただきました。
その通りだと思います。
店のブランドを築くのは
本当に苦労が多いことです。
そして、多くの場合は
ブランドに振り回されて終わってしまいます。
お店のスタッフも大変です。
ブランドを維持するために、
いろんなルールが作られ、
あれはするなということばかりが
増えていきます。
それで、儲からなかったら
どうしようもありません。
ブランドはビジネスの手段だと思うのです。
ブランドのためにビジネスをしているような
主客転倒を起こさないようにしてもらいたいものです。
ブランドを研究し、ブランド作り上げれば、
高い収益力をお店にもたらします。
しかし、
地味な営業努力を怠って、
外面的な活動のみをやっても
効果は決してあがりません。
まして、ブランド管理のために、
店の活力が規制されるようでは、
お話にもなりません。
ブランドは
ビジネスの「魔法の杖」ではないのです。
そもそも消費者が特定のブランドを選ぶ理由は
気持ちの問題だけなのです。
そしてその気持ちというのが、
今までの記憶であり、
「いい記憶」を持っているブランドは
購入時に頭の中で上位に浮かんでくるのでした。
では、実際にはどのようにして
消費者の頭の中に浮かぶのかを考えてみます。
料理の世界で最も有名なブランドが
「京都」という地名だと思います。
料理につけるとすると「京風」という言葉です。
京風というだけで、妙に高級感を感じ
高額であってもお金を払う人がたくさんいます。
ということになりますと、
この単語を前につけて
いろいろな料理ができあがってきます。
京風懐石
京風フレンチ
京風イタリアン
京風ラーメン
では、「京風」をつけただけで、
どのような気持ちを持つのかを考えます。
すると、
「穏やかな気分」
というものを感じると思います。
では、「北海道」ではどうでしょうか。
北海道には
「北の大地」とか「北海」というような
単語が似合います。
この言葉から受ける気持ちは、
「じっくりと育ったおいしさ」
というものを感じます。
このように料理の世界においては、
地名というのは、すでに
大事なブラントとして育っています。
そして、
このようなブランドは地名より
もっと焦点を絞った生産者にまで
達しているのです。
八百屋さんの店先で
「金田さんのレタス」
「山田さんの白菜」
といったように表記されたPOPを
見かけることがあります。
ブランドの基準が
どんどん個人に近づきつつあるということです。
このようなブラントを付ける理由は、
なんと言っても、価格が変わるということです。
ただのフレンチよりも、「京風フレンチ」にすれば、
ただのトマトよりも、「北の大地のトマト」にすれば、
ただの三浦の大根よりも、「三浦の鈴木さんの大根」にすれば、
価格が多少高くても選ばれやすいと考えるからです。
「ブラント」は何も
あなたの店だけに築くものではありません。
あなたの店の業態の前に、
あなたのメニューの料理名の前に
そして材料名の前に
ちょっとトッピングすることによって、
利用できるものなのです。
あなたは、今まで、
自分のお店をブランド化しようと
考えていたのかもしれません。
もちろん、
あなたの料理の腕前や知識によって
それができないわけではありません。
しかし、
他のブランドを見てもわかるように
それには、とてつもなく長い時間が
そして、ひょっとすると莫大な資金が
必要になります。
それよりも、あなたには、
地名が持っている「ブランド力」
生産者や製造者が持っている「ブランド力」
を最大に活用したほうが利口だと思うのです。
今までお話してきたように、
ブランド力を持っている名称は、
多くの人の頭の中で
「いい記憶」として存在しています。
ならば、それを利用して、
その「ブランドらしさ」をいつも把握し、
その「らしさ」が維持されるように
努力すべきなのです。
そう、
それが「地味な努力」というものなのです。
私は、あなたの店が
ブランド化して欲しいとは思っていません。
あなたは、ブランドの力を知り、
すでに料理界に存在しているブランドに
意識を向けて、それを利用してもらいたいのです。
ブランドを理解するということは
お客様の頭の中を理解するということです。
お客様の頭の中にある
「いい記憶」が何であるかを
いつもいつも考えてみてください。
それが、あなたのブランドをつくる
早道かもしれません。