さて、
前回までで「ブランド」というものの正体が、
なんとなくわかってはきました。
人は買い物をするときには、
自分の検索エンジンをフル稼働させ、
上位に表示された記憶にしたがって行動する、
ということでした。
しかし、
どうもそんな単純な話ではないようなのです。
人は単なるいい思い出を検索しているかというと、
実はそれだけではないことがわかってきました。
過去の記憶の検索だけではなく、
将来の想像をしているというのです。
そして、そのあたりに、
まだ未経験の人たちにも影響を与える
ブランドの力というものが
見えて競うな気がするのです。
どういうことでしょう。
例をあげて考えてみましょう。
今、ここに2軒の飲食店があったとします。
1つは居酒屋A。
ここは、リーズナブルな価格設定で、
ビジネスマンを対象としたお店です。
BGМもよく考えられていて、
今日の疲れをぶっ飛ばし、
明日への活力を与えてくれるようなものです。
料理は特別凝ったものではないけど、
リーズナブルに設定。
お腹一杯になっても、
財布にはそう影響はありません。
2つ目はダイニングB。
ここはちょっと落ち着いた柔らかなイメージ。
BGМもスローで、大人の雰囲気を創りだしています。
料理は材料にごだわっているために
ちょっと高価ですが、
すべての雰囲気からすれば、
このくらいは、と納得できるランクです。
さて、居酒屋Aは、
頑張っているビジネスマンたちを
応援するためのお店っぽいですよね。
きっと、店内のお客さんたちの多くは、
「何事もばりばり頑張るぞー!」
って感じの人が多そうです。
反対に、ダイニングBは
スローフードをテーマにしているお店っぽい。
きっと、お客さんの多くは、
「あまりあくせくするよりも、
好きなことをしてのんびりといきたいな!」
って思っている人が多いのではないでしょうか。
ではここでです。
いつも居酒屋Aに通っている人が、
仕事が忙しかった日の帰りに、いつものように
どこかで一杯飲んでいこうかと考えたとします。
いつもの居酒屋が頭の中に浮かびました。
「やっぱり、いつものところでスタミナを
補充して帰るとすっか!」
しかし、そのとき、
ふと時々前を通過していた
ダイニングBが何か気になりました。
「ああ、そう言えば俺も働きづめだよなあ!」
ダイニングBの
しゃれた入り口と店内が頭に浮かびました。
「こういう疲れた日にはもしかしたら
あんな店がいいのかもな・・・」
そんな風に考えて、
いつも通っていた居酒屋Aの前を
通りすぎてしまいました。
こんなことも、ありえないことではありません。
つまり、1軒の店を選ぶときだって、
人は、過去の記憶を検索するとともに、
未来の想像をも一緒にしている
ということになります。
「今夜は、ちょっとのんびりとするか」
なんてね。
この人は、自分がダイニングBに入って
のんびりと食事をしている姿を想像しています。
これが、未来の想像で検索しているということです。
そしてそこには、その人の人生観が関係しています。
だって、ほら
「こういう疲れた日にはもしかしたら
あんな店がいいのかもな・・・」
と思ったということは、
「あまりあくせくするよりも、
好きなことをしてのんびりといきたいな!」
というようなものを感じたからでしょ。
どうやら、現代における消費行動は
思ったよりも複雑になってきているようです。
消費はニーズによって起こる場合もあれば、
ワクワク感を体験してみたくて起こる場合もあります。
しかし、それだけではありません。
ちょっとした買い物にも
自分自身の人生観が投影されますし、
その人生観も日々変化をしている
ということを忘れてはいけないようです。
自分のお店にブランド力をつけたい。
そう考えて、そのためには
「機能的な価値」や「情緒的な満足度」
を高めればよいはずだったのですが、
ここにきて、「人生観の提案」という
要素が登場してきたしまったということです。
では、ブランドといったものを
個人の小さい飲食店でも
つくることができるのでしょうか?
あなたの関心は、きっとここにあると思います。
これについては、次回、いろいろな事例を挙げながら
一緒に考えていきたいと思います。