はじめの「タバコを止める・・・」という言葉は毎朝、そして、後の金額についての
言葉は夜寝る前に書いてもらうことにしました。
彼には苦しい禁煙生活よりも、喫煙をしながらでもこの文章を毎日書くことを選んで
もらったわけです。しかし、この毎日書くという作業も、実は大変な意思が必要です。
そのために私が毎日電話で確認をし、1週間ごとにそれを見せてもらう約束をしました。
さて、どうなったと思いますか?
彼は35日経ったときにタバコを止めました。そして1月に2万円強の貯金をし始めたの
です。お店からの稼ぎは今までと同じなのですが、彼の通帳には毎月確実に2万円ほどの
印字が入金欄に記録されていくことになりました。
人には、紙に書かれた意見は書いた人の真の態度を反映していると考える傾向がある
ということが心理学者の間では知られています。そして驚くべきことに、その意見が
自分の自由に書いたわけではないと知っているときでさえも、人はそう考え続けると
いわれています。
そして、今回のように「禁煙の代わりにある文章を書く」という「害のない」譲歩に
よって、それと一貫した行動を次にとってしまうのです。
すなわち、人は書いてしまったことに見合うように行動するということです。そして
それを他人に見えるような形で自分の立場を明確にすると、一貫した人間に見せようと
するために、その立場を維持しようとする気持が人の心の中に強く生じるようになるの
です。
書き記すという形での意見は、ただ口にすめだけの意見よりも努力を要することになり
ます。彼の例で言えば、毎日同じ内容の言葉を書き続けることは、口で言うよりも
何百倍も困難なことだったはずです。
このように自分の意見に労力が投入されればされただけ、その後の態度に与える影響が
強くなります。