「1日に何箱吸うの?」
料理人でタバコを吸う人は多くありません。味覚を感知する舌の感覚を麻痺させるから
です。それと指にヤニの臭いがつくことも理由のひとつです。しかし、目の前の彼は
まぎれもなくスモーカーだったのです。
「2~3箱ぐらいかな?」
そのクライアントは答えました。
1日2箱として600円。それを30日買い続ければ1万8千円がタバコ代として煙と消えて
いるのです。
「ねえ、タバコ止めません? そしてその分を貯金しませんか?」
帳簿上で無駄なお金が見つからなければ、私生活の無駄を探して、それを指摘するしか
ないと、とっさに感じたのです。
「えぇ、わかっています。止めたいとは思っているのですが・・・」
彼も月々の1万8千円が無駄なお金であることには合意してもらえたようでした。
しかし、それが禁煙という行動に結びつくということはありません。何せ、禁煙ほど
難しいものはないのですから。
しかし、月々の1万8千円は大きな金額です。1年続ければ21万6千円の貯金が
創出されるということです。とにかく禁煙をしてもらって、その分を貯金してもらう
ようにする方法を思案することになりました。
「ねえ、今はタバコを止めるなんて気を起こさなくてもいいから、その代わりに今日
から毎日、手帳にでもノートにてもいいから、今から言う言葉を書き続けてみてくれます?」
私が彼にお願いしたことは、タバコを禁煙という状態を要求することではなく、単に、
毎日ある言葉を紙に書き続けるだけのものでした。
その言葉とは、
「私はタバコをやめて、その分のお金を貯金することにした」
「本日は○○円を貯金し、本日までの累計は○○○円になっている」