「それじゃあ、女房が文句言わないですかね?」
「当然、奥さんにもこの話はしておいてください。何もムダ使いをするという話
ではありません。貯金です。誰かにくれてやるというお金ではありません」
「そうだよな、困ればこれを使えばいいんだからな」
「いえ、それじゃダメです。この貯めているお金は、困ったときに使うものでは
ありません。収入の1割の貯金をしても困らない暮らしに変えるということです。
このお金はあること以外には、仕入れの支払いにもお店の経費にも銀行への返済
にも使わない貯金です」
「へえ、そうなんですか? 普段は使えないお金を自分のために貯めるということ
ですか? 何かしっくりこないですね。それでそのあることとは何のことですか?」
「しっくりこないのも当然です。今までこのようなことを考えたこともなかったはず
ですからね。それで、質問のあることというのが、“増やす力”の源泉となる資金と
してなのですよ。つまり“投資”です」
投資は投機とは違います。貯めたお金を増やす
というよりも貯めたお金を活かすという考えが投資です。
自分自身を磨くために、お店の人材を育成するために、
後継者の教育のために、活きたお金を使っていくことが
投資と考えています。
もちろん、お金にお金を稼がせるハイリスクハイリターの
投資も含まないわけではありません。
投資という言葉を使うと、株式とか投資信託といったものを想像されると思いますが、
ここでいう投資とはもっと広い意味で解釈しています。
“増やす”ということですので、ある一定の金額のお金がお金を生むという現象を
意味することには相違ありません。
簡単に言えば、銀行に定期貯金をして自分は何もしないけれど利息分のお金が
増えていくといったものです。
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