卵を焼くとき砂糖を入れると、やわらかくふわりと出来上がるのだけど、
それはどうしてだと思う?
かなり難しい話をするけど、我慢して聞いてね。
卵のたんぱく質に熱を加えると、分子の運動が激しくなって
折りたたまれていた長いたんぱく質の分子が、一度に広がって
再び絡み合い、全体として流動性を失ってゲルや沈殿の状態になるんだ。
わかった?
わからないよね、きっと。
まあ、この反応を“たんぱく質の熱凝固”と言っているんだけどね。
人間の目には、ただ卵に加熱をすれば焼けて固まると見えるんだけど、
これも立派な熱による化学反応ということだね。
そこで、この化学変化を踏まえて話を進めていくよ。
たんぱく質の溶液に砂糖を加えておくと、先に話したように、
熱によってたんぱく質の分子が広がったあと、砂糖が結びついて、
これがたんぱく質の分子の結合を妨げるために、たんぱく質が
固まるのが遅れると考えられているのだよ。
これまた、わけが分からない話なんだけど、要するに「砂糖さんが
たんぱく質さん達の恋路を邪魔して、固い信頼関係を築くのを
遅らしている」ということなんだね。
これでわかったかな?
この邪魔者の影響で、固まったものでもやわらかく、ふわりと弾力を
持つということになるわけなんだ。
この反応を利用して、卵白を泡立ててメレンゲを作るときにも砂糖を
加えているし、ケーキのスポンジを作るときにも砂糖を使うわけなんだね。
メケンゲでもケーキでも、後で加熱したとき空気が十分熱によって
膨張したところで、ゆっくりと固まるように、またやわらかさを保って
空気の膨張を妨げないようにさせているんだよ。
簡単に食べているけれど、人間の目に見えないところで、
自然界の化学反応はしっかりと起きているのだよ。
では、砂糖の反対の塩を加えたらどうなると思う?
そうなんだ、塩の場合は砂糖と正反対に固まるのを助けて、
早く固まってしまうんだよ。
自然界っておもしろいね、ほんとうに!!